水田:ハリネズミのようなせん毛虫
水田から採取後、寒天上で数日放置。
全身に細い針のような繊毛をまとうせん毛虫。ゾウリムシのように全身の繊毛を柔らかく動かすタイプに比べると、針のような繊毛は移動の手段ではなく身を守るためのものにも思える。
月井雄二先生(法政大)のコメント
この生物は、動画の前半では活発に動いていますが、動画の後半はジッとしていることで、細胞の表面が繊毛で覆われていることが確認できます。細胞の長さは約100μmあります。これらの特徴からは、繊毛虫の一種、Pleuronema marinum である可能性が高いといえます。
http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....
ただし、Pleuronemaには細胞口の周囲に多数の長い繊毛が一列に並んでカーテン状になった構造(velum)を持つのが特徴です。しかし、この動画では細胞が狭い空間にいるためかそのような構造が確認できません。
Pleuronema marinumに似た Histiobalantium nataus という繊毛虫がいます。
http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....
サイズはPleuronema marinumよりやや小さいですが、外形はよく似ています。違いはカーテン状の構造を持たず、かわりに細胞表面を覆う繊毛の長さが2タイプあり、多数の短い繊毛の中に長い(約2倍)繊毛が混じっているのが特徴です。しかし、この動画ではそのような長短2種類の繊毛の存在が確認できません。
そのため、この動画からはどちらの種なのか断定できません。
採取日:2006/10/16
採取場所:鹿島台水田 Google Map