展示室 > 常設展 > 微生物の面白い動き-2

突然位置を変える繊毛虫

扁平な小判型で中央にくびれのある小さい繊毛虫。繊毛を殆ど動かさず、何かの刺激で突然離れた場所に移動する。この様な繊毛虫が動く仕組みは何なのだろうか?


月井雄二先生(法政大)のコメント
繊毛虫の属名は ウロネマ Uronema です。このウロネマに似た シクリジウム Cyclidium というのがいるのですが,シクリジウムには細胞の側面にある口の周囲から他より長い繊毛が横一列にたくさん並んでvelum と呼ばれるカーテン状の構造を持ちます。また,長い尾部繊毛を持つのも特徴です。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

しかし,この動画の繊毛虫には,velumも尾部繊毛も見当たりません。また,ウロネマの特徴である先端部が平らでそこには繊毛がない,という特徴を持っている,ように見えます。ちなみに,画面にある長い糸状藻類は,おそらくトリボネマだと思います。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

採取日:2009/07/02

採取場所:広瀬川A  Google Map

踊って、食べて、踊って

体長約100ミクロン、イチゴのように面白い形の繊毛虫。口の周りの繊毛を激しく動かし、渦のような水流を発生させると、獲物はその渦に吸い込まれ、口の中 へ飛び込んでくる。飛び込んだ獲物が身体の奥へ移動する様子も見られる。面白いのは、この激しい渦に攪乱され、繊毛虫から離れられず、口の外側で踊り始め るミドリムシ。餌を捕まえる繊毛虫の見事な工夫がよく分かる。


月井雄二先生(法政大)のコメント
繊毛虫の属名は ストロンビディウム Strombidium か,ストロビリディウム Strobilidium です。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

  両者はよく似ています。先端部にある「周口小膜域の小膜の輪が連続している」のが ストロビリディウムで,ストロンビディウムは繋がっていない(両端が後方へ向かう) のが特徴とされます。

動画では,周口小膜域の様子を識別するのはかなり難しいです。

採取日:2009/07/03

採取場所:広瀬川B  Google Map

ユープロテス 百態

画 面のユープロテスは体長約0.2ミリ、上から見ると幅が広く大きな繊毛虫だ。口部では密集した繊毛を盛んに動かし、尾部では太い棘の1本をぴくぴく動かし ている。見ている間に小さい鞭毛虫が何度も飛び込み、もがきながら、既に餌がいっぱい貯め込まれた体の奥へ運ばれる。普段は静止して餌を捉え、大きな原生 動物が来ると慌てたように位置を変える。 画面後半は真横からみた映像で、粒子の上に棘毛でしっかり立っている。棘毛を足の代わりに動かし動くこともある。その間も、棘毛の1本と口周りの繊毛は、 盛んに動いて体のの周りに水流をおこし、餌をかきあつめるのに余念がない。


月井雄二先生(法政大)のコメント
別の動画でも書きましたが,核の形がわかれば,Euplotes eurystomusか,E. woodruffi かがわかります。しかし,この動画では残念ながら核の形はわかりませんでした。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

採取日:2009/07/03

採取場所:広瀬川B  Google Map

しなやかに粒子間をすりぬけて(拡大)

細長く先端だけが少し曲がったこの大きな繊毛虫は、横から見るとリボンのように平たい身体の向きを上手に変え、粒子の間をすり抜けて泳ぎます。


月井雄二先生(法政大)のコメント
この繊毛虫の属名は ロクソデス(Loxodes)かレマネラ(Remanella)の何れかです。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

両者の区別はやや微妙で,細胞内に繊維状構造があるかないか,口部域の構造の違い等をみないとならないのですが,この動画では,その辺がはっきりしないので判断ができません。

採取日:2009/08/08

採取場所:広瀬川A  Google Map

2021 © AL-Museum