展示室 > 名称別 > 有殻アメーバ(Arcella)
ナベカムリ
ナベカムリ(有殻アメーバーの一種)。しばらく観察したが、全く動かなかった。
月井雄二先生(法政大)のコメント
普通,ナベカムリ(Arcella)の殻の表面は滑らかですが,この動画に写っている殻には色々な顆粒が付着しているように見えます。すでに死んでしまって殻だけになったのか,あるいは,なんらかの原因で顆粒が付着してしまったのかも知れません。
また,若干ですが,開口部(pseudostome)の位置が殻の中心からずれているようにも見えます(錯覚かも知れませんが)。ずれているとArcellaではなく,他の有殻アメーバの可能性が高くなります。
採取日:2009/07/03
採取場所:広瀬川B Google Map
水田:ナベカムリの殻
水田から採取後、寒天上で数日放置。色と形が特徴的なナベカムリの殻。どうやら殻の主はいなくなったようだ。
月井雄二先生(法政大)のコメント
これは有殻アメーバの一種、ナベカムリ(Arcella)の殻を底面から見たものです。種名を判断するには、殻を横から見た画像が必要です。殻の直径と殻の高さの比、殻の直径と開口部(pseudostome)の直径の比、殻の表面の状態(滑らかな球面か、凹んでいるか)などが種を判定する手がかりになります。
この動画では、横から見た画像がないので判別は難しいですが、若干あちこちが凹んでいるように見えますので、可能性が一番高いのは Arcella gibbosa です。
http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....
採取日:2006/10/16
採取場所:鹿島台水田 Google Map
水田のナベカムリ
水田から採取後、DNB寒天(薄めた肉汁を寒天で固めたもの)上で4日間、光を遮り放置した後観察。有殻アメーバのナベカムリが仮足を伸ばし移動しているのを観察した。途中(2:13)、緑色の原生生物を捕食するが、肝心の部分がファイルの入れ替えを行ったため、撮影できていない。動きの素早さでは劣るナベカムリが、素早く動く生き物たちをとらえるのは興味深い。
月井雄二先生(法政大)のコメント
この動画の主役は,円盤状の殻を持ち,やや太めの仮足を出しています。これらの特徴からアルケラ(ナベカムリ,Arcella)の一種であることがわかります。
http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....
殻の高さがかなりあり,部分的に窪んでいるように見えますので,おそらくArcella gibbosaでしょう。
http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....
ただし,殻の窪みが明瞭でないのでArcella vulgarisである可能性も否定はできません。
http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....
途中で現れる緑色の生物は繊毛虫ではなく,ミドリムシの仲間,トラケロモナス(カラヒゲムシ,Trachelomonas)です。殻を持っているのと,その独特の動きからトラケロモナスであることがわかります。内部に赤い眼点があるのもトラケロモナスの特徴です。トラケロモナスの殻は時間がたつと赤茶色になりますが,新しいものはほぼ透明です。この細胞は透明な殻をもっていますので,比較的最近,分裂して新しい殻に収まったのでしょう。
http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....
種としては,Trachelomonas crispaかも知れません。しかし,T. crispaに比べて殻の表面から出る棘が明瞭でないのが気になります。とくに,T. crispaは鞭毛が出る開口部付近の棘が長いのですが,この動画ではその辺が確認できません。
http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....
トラケロモナスに近いストロンボモナス(Strombomonas)の可能性もありますが,後者は鞭毛の出口が,トラケロモナスのような襟状ではなく,より細長い首状をしているのが特徴なので,ストロンボモナスよりはトラケロモナスに近いはずです。
http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....
採取日:2006/09/22
採取場所:鹿島台水田 Google Map
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