水田のナベカムリ
水田から採取後、DNB寒天(薄めた肉汁を寒天で固めたもの)上で4日間、光を遮り放置した後観察。有殻アメーバのナベカムリが仮足を伸ばし移動しているのを観察した。途中(2:13)、緑色の原生生物を捕食するが、肝心の部分がファイルの入れ替えを行ったため、撮影できていない。動きの素早さでは劣るナベカムリが、素早く動く生き物たちをとらえるのは興味深い。
月井雄二先生(法政大)のコメント
この動画の主役は,円盤状の殻を持ち,やや太めの仮足を出しています。これらの特徴からアルケラ(ナベカムリ,Arcella)の一種であることがわかります。
http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....
殻の高さがかなりあり,部分的に窪んでいるように見えますので,おそらくArcella gibbosaでしょう。
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ただし,殻の窪みが明瞭でないのでArcella vulgarisである可能性も否定はできません。
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途中で現れる緑色の生物は繊毛虫ではなく,ミドリムシの仲間,トラケロモナス(カラヒゲムシ,Trachelomonas)です。殻を持っているのと,その独特の動きからトラケロモナスであることがわかります。内部に赤い眼点があるのもトラケロモナスの特徴です。トラケロモナスの殻は時間がたつと赤茶色になりますが,新しいものはほぼ透明です。この細胞は透明な殻をもっていますので,比較的最近,分裂して新しい殻に収まったのでしょう。
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種としては,Trachelomonas crispaかも知れません。しかし,T. crispaに比べて殻の表面から出る棘が明瞭でないのが気になります。とくに,T. crispaは鞭毛が出る開口部付近の棘が長いのですが,この動画ではその辺が確認できません。
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トラケロモナスに近いストロンボモナス(Strombomonas)の可能性もありますが,後者は鞭毛の出口が,トラケロモナスのような襟状ではなく,より細長い首状をしているのが特徴なので,ストロンボモナスよりはトラケロモナスに近いはずです。
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採取日:2006/09/22
採取場所:鹿島台水田 Google Map