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弱ったミドリムシと繊毛虫の間に何が?

殆ど動かない元気のないミドリムシの前に小さな茶色の繊毛虫が2匹やって来ました。『どうしたのだろう?』というように。彼らは一度姿を消したかと思うとま たやって来ました。 その途端ミドリムシは本来の形を取り戻し、一度大きく身を縮めた、と思う間もなく勢いよく泳ぎ去ります。


月井雄二先生(法政大)のコメント
タイトルおよびコメントの「繊毛虫」を鞭毛虫など他の表現に変える必要があります。

これは繊毛虫ではなくクリプトモナスかその仲間(クロオモナス)のいずれかです。

動画の最初の頃を見ると,ミドリムシに近付いた別の鞭毛虫の細胞の先端に1,2本のやや長い鞭毛が見えますが,他に繊毛らしきものは見えません。また,側面に広がる薄茶色の葉緑体があり,中央付近にピレノイドがあります。これらはクリプトモナスの仲間の特徴です。

種名については,残念ながらわかりません。情報が不足しているためです。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

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ミドリムシの方は,細胞が小型で短いことと,細胞内に比較的大きなピレノイドが数個観察できることなどから,もしかすると Euglena agilis(旧称:Euglena pisciformis) である可能性が高いと思います。とくに動画の最後の方で細胞の全形がわずかに写っていますが,その形からすると,Euglena agilisが一番近いように思います。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

 ただし,小型のEuglenaは色々いますので,他の種である可能性も否定はできません。

Euglena anabaena や Euglena viridis などです。

三者のピレノイドと葉緑体の特徴ですが、①E.agilisは、細胞の両壁に沿って平板状に一個づつある葉緑体の中にそれぞれ大きなピレノイドがある、②E.anabaenaは、平板状で3~7個ある葉緑体の中のそれぞれにやや大きめのピレノイドがある、③E.viridisは細胞の中心から放射状に伸びている細いリボン状葉緑体に小さめのピレノイドがある。三者の外形は似ているので、その区別はピレノイドと葉緑体によって行います。

ただこの動画では、これらを識別できません。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

採取日:2009/08/09

採取場所:広瀬川B  Google Map

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